夢はあるが、家族の為にと、上司である大杉に怒られながらもコツコツと働く至誠。今日も迷い続けながらもブラックハットな記事作りを続けている。至誠は黒帽領で働き始めて三ヶ月が過ぎた初夏の暑い日。
この日、至誠が今後の人生を大きく変えるであろう出会いを迎える。はたして、その出会いとは。
(カタカタカタカタ…タ~ンっ!!)
よし!出来たぞ。「でも……この記事って一体誰の為になるんだろう…」
おいっ真白!手が止まってるけど記事は書けたのか????むしゃむしゃ
出来ました!確認お願いします!
うん、まあ大体こんなもんだろう!!お前もだいぶコツがつかめてきたみたいだな!!!今は何ヶ月目だ???むしゃむしゃ
ありがとうございます!今は三ヶ月目です!「この人なんでいつもハンバーガー食ってんだろ(笑)」
三ヶ月か!!!それはどうでもいいんだけど、昨日お前の作ったコンテンツだけどな、検索順位で3位になってたぞ!!!むしゃむしゃ
えっ3位?ほ、ほんとうですか!?「ついに俺の時代がついに来たのかっ」
俺が嘘いうと思ってんのか!?!?まあ長くて夕方には圏外に吹っ飛ぶんだけどなwww その調子でガシガシ書いてくれな!!!スピードが命だからな!!!むしゃむしゃ
夕方には圏外か……そうだよな……俺の作るコンテンツなんてスパムそのものだもんな……
まあこれ食えよ!!!頑張ったからハンバーガーやるよwww
あ、ありがとうございます……
検索順位で上位をとれたのもつかの間の喜び。至誠の作るブラックハットなコンテンツはスパム扱いをされ、一時的にサーチエンジンにインデックスされても、すぐにGoogleからも弾かれてしまうのであった。検索エンジンから弾かれる迄のこのわずかな時間で検索エンジンからいかに人を呼び込めるか。それが黒帽領の集客技術である。
今日も一日の仕事を終えて家路につく至誠。考え事をしながら、いつもの道を歩いていた。少し歩いた所で、ドンっと言う衝撃ともに、至誠は肩にズシッとした鈍い痛みを感じた。
いってぇ……なんだ??
考え事から,ハッと我に帰る至誠。目線を下に落とすと、一人の老人が倒れていた、どうやら先程の衝撃はこの老人とぶつかったしまったようだ。
ふぉお。痛い痛い。そこのお若い人。手を貸してくれますか??
あ、はい。すみません。お怪我はありませんか?
ふぉふぉふぉっ。大丈夫ですよ。これからは気をつけるのですよ。
はい。ほんとうすみませんでした。よそ見をしていたので前から来るのに気づいていなくて。何かあるといけないので、一応連絡先とか渡しておいた方がいいですか?
大丈夫ですよ。それより、お若い人よ。考え事をしていたようですけど、何かお悩みですか?ふぉふぉふぉっ。
そうですね。悩みというか、家族とか仕事の事で……
うんうん。仕事や家族の悩みですか。若いうちには色々と悩むものですよね。それでは先を急がねばなりませんので、私はこの辺で失礼させていただきます。ふぉふぉふぉっ
はい。本当すみませんでした。
ばいなら。ふぉふぉふぉっ
ばい、ばいなら(笑)「なんか不思議な人だったなぁ」
さぁ俺も帰るか。 (ゴツっ)いてっ!なんだ?
何かに躓いた至誠は、再度視線を落とすとそこには古びた1つのかばんが落ちていました。どうやら先ほどの老人が転んだ際に置いていってしまったようです。
あっお爺さんかばんかばん!あれっお爺さんどこいったんだ??こっちも居ない、こっちにも居ない……もしかしてさっきのおじいさんて……幽霊???
どこを探しても先ほどぶつかった老人は見つかりませんでした。一体どこに行ってしまったのか。置いてってしまった古びたかばんを抱えながら途方にくれる至誠。
この後大きな衝撃を受ける事になるのであった。
続く